「虹の部族」はジョゼフィーヌ・バケールが世界中の孤児を引き取った子供たちの名前。
その前にジョゼフィーヌ・バケールという女性は何者か?
黒いヴィーナスと呼ばれていたジョゼフィーヌ・バケール黒いヴィーナスと呼ばれた可愛らしい歌姫黒人の女性。人種差別運動を関わり、世界中に飛び回るパワフルなアメリカの女。アメリカで黒人差別を嫌ほど受けてそこから逃げてフランスへ永住する。ドルドーニュの人里離れたところで人種や宗教を超えた理想郷を造り、そして肌の色の異なる孤児を世界中から集めた。選ばれた子供たちを「虹の部族」と呼ばれてた。
若きのジョゼフィーヌ・バケール私はジョゼフィーヌ・バケールについて自伝本を読んだが、一番気になったのは彼女の死後、引き取った肌の色の異なる孤児たちはあれからどうなったのか。それがすごく気になって彼らの本を探していたが、どこにも一冊もなかった。
ある日、新宿の紀伊国屋へ寄って新刊コーナーの辺り観ていたら、なんと発見!
その本のタイトルは
「孤児たちの城」~ジョセフィン・ベーカーと囚われた13人~※ジョセフィン・ベーカーは英語の呼び方
※ジョゼフィーヌ・バケールはフランス語の呼び方なんかあんまりいいタイトルではなかったのでもしかして大変な環境の中で育ったのかな?と思い、その本を迷いもせず買った。
本の表紙写真から観ると楽しそうな雰囲気が伝わる。そして、幸せに暮らしていると。
しかし、ページを開くと実際はそうではなかったことがわかった。
ジョゼフィーヌ・バケールは自己中心的な人でヒステリックばかり起こしていたようだ。そんな母親をそばから見た子供たちは恐かっただろうね。子供にしてみればジョゼフィーヌの世界しか知らない。何でも彼女の一言で決めて、それを従わなければならない。だから、「囚われた13人」というタイトルをつけた理由がハッキリと理解出来た。
虹の部族の中に日本人が2人いるが、なぜかジョゼフィーヌ・バケールは一人だけ「あなたは韓国人だよ」と言われ続けて育った。その人があまりにも不憫でならない。
その子の名前は「アキオ」。虹の部族の中では歳が一番上だったのでみんなの面倒を一生懸命見ていた。さらにジョゼフィーヌ・バケールからも「ちゃんと面倒見るんだよ」とよく言われていたようです。そのせいなのか、あんまり笑わない。いつも緊張した顔の写真が多い。
アキオさん自身が日本人だとわかったのは20歳になるかならないときだった。ものすごいショックだったろう。自分のアイデンティティが確立出来ない辛さは出口のない道を探すようなもんだと思う。
結局、彼女の死後、13人の兄妹は世界中に散らばって暮らしている。ニューヨークにジョゼフィーヌ・バケールのバーを運営し、他はモナコで庭師、教師、フランスで普通に暮らしている。彼らもジョゼフィーヌ・バケールから与えられた呪縛やもらわれた孤児という立場で苦しんでいる。中に性に対して強制された子供もいた。
ジョゼフィーヌ・バケールがやったこれまでのヒストリーはすごい素晴らしいと思うが、もらわれた孤児たちの立場を知るとなんとも言えなくなったと感じた本でした。
この本で初めて知ったことがあった。それは「黒いヴィーナス」はジョゼフィーヌ・バケールが最初ではなく、その前に「サラ」という女性が一番最初につけられた名前だった。アフリカからフランスへ連れていかれ、美しいボディを持ったスタイルで白人の間で注目を浴びたのだ。黒人ボディは白人にはない肉がのっかった美しいお尻。これを「ホッテントット」と言う。
かのピカソも「ホッテントットの裸はミロのヴィーナスより遙かに美しい」と言っていたほど。そんなサラは最後に白人から捨てられてパリの路頭に迷い、身体を売り、アルコールに溺れて26歳の若さで亡くなった。
その後、その遺体をパリの博物館でなんと展示したのだ。それを怒ったアフリカの人たちは192年を経た2002年にネルソン・マンデラがサラを故郷へ帰そうとフランス政府と粘り強く交渉したのだ。おかげで2002年8月ケープタウンの近くにある丘でようやく埋葬することが出来たのだ。
こういうことを知って大変驚いた同時に歴史は残酷だと胸が痛くなった。
とにかく、この本を読んで良かった。
ほんまに・・・・・私の心に新しい、真実の歴史を埋め込みました。
最後までくそ長いお話を聞いて下さってありがとうございます。
ところで
花の慶次が9巻までしか読んでおらず、ちょっとイライラしております。爆笑 明日、紀伊国屋へ寄ろうっと。